産卵時以外のほとんどを海の中で暮らし「飛べない鳥」としても有名なペンギン。世界中に6属18種存在していて、ペンギンが大好きな日本ではそのうちの11種も見ることができるのです。そこで今回は、水族館でよく見られるペンギンの種類と、日本では滅多に見ることのできない珍しいペンギン7種をご紹介します。
南極のアイドル、ペンギンについて知っておきたい基本知識
陸上をよちよち歩く姿がなんともかわいらしいペンギン。南半球の広い範囲に生息しています。鳥類に属するため、数えるときの単位は「羽(わ)」なんだよ、という話は有名ですね。
種類や状況にもよりますが、ペンギンの平熱は38℃程度と言われており、さらに水に飛び込む前には57℃ほどにも体温が上がるとも言われています。
ペンギンはとっても人懐っこい動物です。その理由として、かつてペンギンの住む地域には天敵がいなかったため、危険を察知して回避する必要がなかったことが由来していると言われています。
その人懐っこさと可愛い仕草からペンギンは水族館でも大人気で、特に日本では世界的に見てもとても多くのペンギンを飼育しているとされています。
その一方で特殊な環境で生きてきた種類のペンギンも多く、飼育が難しい種類のペンギンもおり、世界中で6属18種のペンギンがいますが、その内7種は、日本では市域されていません。
水族館でよくみるペンギンの種類
水族館でよくみる定番のペンギンをご紹介します。
コウテイペンギン(エンペラーペンギン)
体長約100〜130cm・体重約20〜45kg。
ペンギンの中で、一番大型の種類がこのコウテイ(皇帝)ペンギンで、ペンギンたちの中で最も南に分布するペンギンでもあります。南極大陸の過酷な環境に適応し、子育てをする姿がテレビでもよく取り上げられます。親ペンギンは5分も放置すれば凍ってしまうような寒さの中で、3週間以上も絶食状態で卵を温め続けるのです。
キングペンギン(オウサマペンギン)
体長約85〜95cm・体重約10〜16kg。
コウテイペンギンに次いで世界で2番目に大きな種類で、コウテイペンギンが発見されるまでは最大手でした。見た目もコウテイペンギンに似ており、黒い背中と真っ白なお腹にオレンジ色のクチバシ、そして首元に入る黄色が美しく印象的です。もともと温暖な地域に暮らしているため、各地の動物園や水族館で育てやすく、日本でもよく見られるペンギンです。
フンボルトペンギン
体長約70cm・体重約3.5kg。
もともと温暖な地域に暮らしているために暑さに強く、丈夫です(逆に寒さに弱く震えていることもあるのだとか)。日本にはすべての種を合わせて2000羽ほどのペンギンが飼育されていると言われていますが、このうちの約半数である1000羽はフンボルトペンギンで、これは世界中のフンボルトペンギンの1割程度にもなるのだそう。
イワトビペンギン
体長約45〜58cm・体重約2〜3.5kg。
テレビCMでも一時期話題となったピョンピョンと跳ねて移動する姿がとても印象的。その動きから、そのまま「岩跳び(イワトビ)ペンギン」と名付けられました。目の上にピュンと飛び出た黄色い飾り羽根と、頭の上のツンツンヘアーが特徴です。見た目もやんちゃですが性格も好戦的で、仲間同士でもよく喧嘩をするそうです。
アデリーペンギン
体長約60~70cm・体重約5kg。
「Suica」のキャラクターや、「クールミントガム」のパッケージでもおなじみのあのペンギンです。目の周りが白く囲まれていて、ピンク色の足以外は全身白黒のツートーンカラーが特徴的です。南極大陸の日本の昭和基地の近くでも暮らしており、その表情豊かな可愛らしさも相まって、とても親しみやすいペンギンです。
フェアリーペンギン(コビトペンギン・コガタペンギン・リトルペンギン)
体長約40cm・体重約1kg。
ペンギンは全部で18種いますが、この中で最も小さいのがこの種。他のペンギンと違い直立ではなく、少し前傾姿勢で歩行するため、最も原始的な種類のペンギンだと言われています。その小さくかわいらしい姿から、妖精の名前がついていますが、よく見てみると目つきが鋭く、性格も攻撃的なのだそうですよ。
日本では滅多に見られない珍しいペンギン
ガラパゴスペンギン Galapagos Penguin
体長約 48~53cm・体重約 2~2.6kg・分布 ガラパゴス諸島
ペンギンでありながら、赤道直下の温暖な環境に生息しています。羽毛が短く、熱を放出しやすくするために大きな翼を持っています。陸上ではなるべく日陰で過ごし、それでも暑い時には大きな口を開けて喘ぎ(パンディング)犬がするのと同じように体温調節をします。
スネアーズペンギン(ハシブトペンギン) Snares Penguin
体長約 51~61cm・体重約 2.5~4.5kg・分布 スネアーズ島
頭の後ろまで伸びる太く鮮やかな黄色のトサカ(飾り羽)を持ち、赤茶色の太く立派で、根元がピンクのクチバシが特徴です。絶滅の危機が増大している「危急種」とされ政府により厳格に保護されています。
フィヨルドランドペンギン(キマユペンギン) Fiordland Penguin
体長約 50〜60cm・体重約 3〜4.8kg・分布 フィヨルド地域・オークランド諸島・スチュワート島など
黄色く垂れ下がる眉毛のようなトサカ(飾り羽)を持つペンギン。スネアーズペンギンとよく似ていますが、フィヨルドペンギンは頬に白いラインを持っていて、世界自然遺産に登録されるような手付かずの自然が残る地域に暮らしています。
シュレーターペンギン(マユダチペンギン) Erect-crested Penguin
体長約 65〜70cm・体重約 4〜6.5kg・分布 バウンティ諸島・オークランド諸島・マッコリー島など
他のトサカのあるペンギンたちと違い、黄色く、ピンと直立したトサカを持ちます。「狂う50度」と呼ばれ船乗りたちに恐れられている暴風圏に生息しており、島自体も人の立ち入りを厳しく制限しているため、未解明な部分の多いペンギンです。
キガシラペンギン(キンメペンギン) Yellow-eyed Penguin
体長約 66〜78cm・体重約 5.5〜6kg・分布 ニュージーランド
ペンギン種の中で最も絶滅の危機に陥っているのがこのギガシラペンギンです。黄色いヘルメットのような頭部が名前の由来。鋭い金色の目からキンメペンギンとも呼ばれます。生息地であるニュージーランドでは、お札の絵柄にもなっておりとても有名です。
ハネジロペンギン(シロツバサペンギン) White-flippered Penguin
体長約 40〜45cm・体重約 1.2〜1.3kg・分布 バンクス半島・モトナウ島
日本でもいるコガタペンギンによく似た、ペンギンの祖先に近いとされる種。翼を縁取る白いラインが特徴的。ハネジロペンギンは海辺の岩穴や洞窟の奥深くに巣を作るのですが、その巣の中は抜けた羽根や乾いた排泄物によって大変誇りっぽいのだそう。
ロイヤルペンギン Royal Penguin
体長約 68〜75cm・体重約 4〜6.5kg・分布 オーストラリア・ニュージーランド・マッコリー島
マカロニペンギンに似ていますが、顔が白いのがロイヤルペンギン。名前が示すとおり、真っ白い顔から生える金色のトサカがとても美しく気品を感じさせるペンギンです。同じ場所にキングペンギンも生息するためロイヤルの名前がついたという説も。
あなたは幾つ知っていましたか。可愛いペンギンですが、中には絶滅の危機に面する種類のペンギンもいます。そのような現状を知り、何か小さなことでも彼らの居場所を守る活動を支援することができれば良いですね。