海中に潜って行うダイビングは、常に危険と隣合わせです。
平成29年に発生したダイビング中の事故は、実に58件にもおよびます。
また、平成26年のデータでは40件の事故が発生し、うち11件は死亡事故にまで発展しています。
ダイビングでは、なぜこのような事故が起こってしまうのでしょうか?
今回は、その主な原因と対処法について説明していきます。
ダイビングで起こりうる事故とは
ダイビングでは、どのような事故が起こりうるのでしょうか?
ここでは、ダイビング中に起きやすい事故について説明していきます。
溺水による事故
こちらは、海上保安庁が発表した、平成29年の活動別の事故発生状況です。
ダイビングの項目を見ると、溺水(溺れること)の割合が58件中30件と、実に半数以上を占めています。
ダイビング中、溺水につながるのが、以下の2点です。
- レギュレーターが外れたことによるもの
- タンクのエア切れ
「レギュレーター」は、海中で呼吸をするため、口に加える装置です。
2017年8月には、男女4人でダイビングを行っていたグループのうちの一人が、口からレギュレーターが外れたことでパニックを起こし、そのまま海中に沈んで行方が分からなくなったという痛ましい事故が起こっています。
2018年2月には、ダイビングのインストラクターがタンクのエア切れが原因で亡くなる事故もありました。
このインストラクターは、仲間と一緒にダイビングをしており、他のダイバーから予備のレギュレーターである「オクト」をもらいながら安全停止していたものの、いつの間にか姿が見えなくなっていたようです。
漂流事故
ダイビングでは、漂流事故も多発しています。
漂流事故は、主に以下3つのケースに分けられます。
- 数人のグループでダイビング中、そのなかの一人が漂流された
- ダイビングボートが漂流してしまい、船に戻れなくなった
- ドリフトダイビング(潮の流れに乗って移動するダイビング)しているダイバーたちの姿を、ボートの操縦者が見つけられなくなった
このように、ダイバーかボート、どちらかが流されることによって、漂流事故は起こります。
ダイビング事故の主な原因
ダイビング事故の原因には、主にどのようなものがあるのでしょうか?
以下は海上保安庁が発表した、平成26年に発生したダイビング事故の原因をグラフに表したたものです。
ここではこのグラフをもとに、主な原因について解説していきます。
知識・技能不足
平成26年に発生した事故のうち、最も多かった原因が、ダイバーの「知識・技能不足」によるものでした。
また、事故にあったダイバーのうち、一番多かったのはダイビング歴1年未満の人たちでした。
危険と隣合わせのダイビングでは、知識や技能、経験の不足は事故に直結しやすいということが分かります。
実施中の活動に対する不注意
知識・技能不足に次いで多かったのが、「実施中の活動に対する不注意」です。
最悪の場合、命を落とす危険もあるダイビングを甘く見て行うことは、それだけ事故の発生確率を高くしてしまいます。
ダイビング事故を起こさないための対処法
ここまで、ダイビングの事故原因について説明してきました。
では、どうすればダイビングの事故を防ぐ確率を高くできるのでしょうか?
ここでは、ダイビング事故を起こさないための対処法について説明していきます。
初心者はダイビングショップでダイビングをする
初心者は必ず、ダイビングショップでダイビングをするようにしましょう。
ただし、ダイビングショップでのダイビングでも、これまで多数の事故が発生しています。
そのため、インストラクターを過信しすぎるのもいけません。
初心者の方は、自分でもダイビングの知識や機材の扱い方を習得してからダイビングを始めるようにしましょう。
気象や海象情報はしっかりチェックしておく
先ほど紹介した漂流事故は、潮の流れが早いときほど、起こりやすくなっています。
そのため、気象や海象が激しいときは、ダイビングは控えたほうが賢明です。
ダイビングをする日は、事前にこれらの情報をチェックしてから、やるかどうかを決めるようにしましょう。
漂流したときに備えたアイテムを携行しておく
漂流してしまったとき、自分の位置を知らせる物がなければ、見つけてもらえる確率が低くなります。
そのためダイビングの際には、以下のアイテムを携行しておきましょう。
- 目立つ色のウェットスーツ
- レスキューフラッグ
- エアーホーンやホイッスル
- ライト
これらのアイテムがあれば、色や音、光などで自分の居場所をアピールできます。
まとめ
ダイビングは魅力的なマリンアクティビティですが、危険と隣合わせのスポーツでもあります。
実際に、ダイビングではこれまで、様々な事故が発生しています。
これからダイビングを始めたいという方は、ぜひこの記事で紹介した、事故に遭う確率を下げる対処法をして、ダイビングをするようにしましょう。